荒削りだが豪快な漫画を描く矢部静水の軍隊漫画絵葉書です。
画風は岡本一平(岡本太郎の父親)の漫画に似たところがあるので、どこかに接点があるのかもしれません。
(私は昔、岡本一平作の「富士御岳神社」へ山伏が「ろっこんしょうじょう(六根清浄)、ろっこんしょうじょう」と唱えながら、参拝する漫画【A3版】を持っていたことがある)
入営の朝・・・ 「必ずご期待に添うようやって参ります」 【入営の日は、三ツ星に、成る気なり】「留守中は何卒宜しくお願いいたします」「必ずご無事でお帰りの日を、お待ち申しております」
斥候に付き教官殿の学科・・・斥候が敵情を報告するに、一番大切なことが四つある。A・何時 B・誰が C・何処で D・何して。 これを一番早く覚えられる方法を教える。それは義太夫の三勝半七の文句である。A・今頃は B・半七さん C・どこで D・どうして御座ろうやら~・・・この文句で覚えとけ~
兵器の手入れ・・・「何でも2年兵の話では、兵器検査の時には、剣のこんな窪みに付くほこりまでも、よく見るそうな、気を付けようぜ」「天野、お前の銃の番号を覚えたか?」「覚えたとも、1896897番だ、どうだ長いだろう」「俺のも長いぞ、しかし銃は兵隊の魂と言うが、俺の戦友なんか夜間演習で、叉銃(さじゅう)してある沢山の銃の中から、自分の銃を持ってくるよ。どこに印が有るのか知らないがエライものだな」
銃剣術・・・「まだやってら~、お~い、間稽古は、雨で取り止めだぞ」
【間稽古に、夕立がきて、活気付き】
初の食膳に向かって・・・「軍隊は地方で思ったより、2年兵たちの言葉づかいも丁寧で親切だし、それに・・このご馳走を見ろ!お頭付きで果物まで付いてら・・・俺のとこのお祭りよりよっぽどご馳走だ!」「どうした戦友、まだ食べんのか?」「どうだ、食べられるか、お~もう空か・・」
射撃予行演習・・・「お前にゃ~どうしても、この左目がつむれんのか?」「班長殿、吉田は射撃予行演習に参りました!」「引き金は心で引くな!手で引くな!闇夜の霜の降りるように引け!この要領でジリジリと力を入れて・・・良いからと思ってガクリと引くなよ!」
敬礼(真面目兵隊によくある型)・・・敬礼をされる相手はまだはるかに遠い・・・それなのに本人は、夢中になって敬礼をしようと右手に力を入れつっぱって用意して行きます。(進行中、上官に対する敬礼は、相手の8歩前にさしかかった時するものです)
初年兵教育(跳躍運動)・・・「跳躍運動はこの要領でやる!よく見ていろ!うんと胸を張って、できるったけ前へ跳び、跳んだ瞬間弓のようになり、地に着いたら体がぐらぐらになってよろけん様に気をつけること。それでは、各個に数回始め!」
診断ラッパにより中隊前に患者の集合・・・「さあ集まったか!今日は何と種々様々な患者が集まったものだな!」(演習中馬にけられて傷ついた者)
(演習の後、汗に濡れたシャツを着替えなかったため、風邪を引いた者)(酒保で、うどんとしるこを食べ過ぎた者)(不潔にすると、よくこのように腫れ物が出来ます)(昨日の行軍で医務室に土産のマメを持って行く者)
楽しい外出・・・【衛兵に、済まないような、外出証】「今日はどうしても、あそこへ行こう」
「おい山本、帰営時間に遅れるなよ、それから上官に逢ったら欠礼せんように気をつけろ!何でもかまわない、兵隊と思ったら手を挙げて敬礼をすれば、間違いっこないよ」
「大丈夫であります、1時間前には必ず帰ります」
「服部、今日はいいトコへ案内するから一緒に来い!」「この前のコトもあるし、お前と一緒はコリゴリだよ!」
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