軍隊漫画と言いますと、先ず思い出されるのが田河水泡作「のらくろシリーズ」ですが、軍隊漫画絵葉書となれば「小野寺秋風」「荒井一壽」と「矢部静水」の三人に集約されますね。

ただ、断然小野寺秋風と荒井一壽の絵葉書は種類も多く、昭和初期、満州事変から支那事変、大東亜戦争にかけて大量に軍事郵便に使用され、また長期間のため画風も少しづつ変化して、双方が似てきた気配も出ています。

軍隊を漫画化することは侮蔑の笑いは厳禁、ユーモアの範囲内の笑いに徹することで、長期にわたり愛されたものだったのでしょう。
画材の舞台も召集・入営に始まり指導教練・前線移動など多岐におよび、戦地設定は昭和6年に始まった満州・支那戦線がほとんどでした。
これも大東亜戦争でのビルマ戦線、フィリピン戦線までが限界線で、椰子の木林が描かれた漫画が最終だったようです。

田河水泡小野寺秋風は、戦後も少年雑誌に漫画の連載をしていましたので、どなたにも画風などは広く知れ渡っていました。

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漫画作家・左から【福井英一】【島田啓三】【田河水泡】【倉金章介】【太田じろう】(当時の売れっ子漫画家です)他に横山隆一、横井福次郎、馬場のぼる小野寺秋風等が居ました。

(この頃は【手塚治虫】は第1「新宝島」が出た頃で・・学生上がりの、まだ駆け出しでした。雑誌【少年】に「鉄腕アトム」の連載が始まったのが、この頃です。
未来を描いた少年クラブ連載の「不思議の国のブッチャー」横井福次郎の影響を、手塚治虫は受けているな・・の印象でした。)


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昭和初期から軍隊漫画として青少年の喝采を得た「のらくろシリーズ」
戦後は引揚者としての耳の垂れた「のらくろ」の生活が連載されていた。



これが【矢部静水】の漫画絵葉書です。
ちょっと荒っぽい画風なので、小野寺秋風ほどには出回ってなかったようです。(後に特集を予定しております)
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「不動の姿勢」の教育


【小野寺秋風】の漫画絵葉書

発行時代によって、画風が変化している様子を見てください・・・
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名誉の連隊旗

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衛 兵 勤 務

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営内のオアシス・・・酒保  (国旗は米、仏、日、英、満州)


【馬場のぼる】の漫画絵葉書
(軍隊漫画絵葉書としての作品は僅少ですが、キャラの表情から見ると
馬場のぼるの絵だと判明できます。)
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衛 生 隊 


【荒井一壽】の漫画絵葉書
訓練風景が主流、描画が丁寧で、人物表情に愛嬌があり非常にうまい。
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半 舷 上 陸


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武器手入れ


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行 軍

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探 照 灯

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「伏 せ!」の訓練

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突 撃



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