泰山から芳子への便りにも拘わらず、妻から返事が来ない泰山の苛立ちを、理解したのでしょう。
 戦地で余分な心配をさせてはならないと、病状を報告出来ないでいた忠兵衛は、悩んだあげく、いたたまれず「芳子の病状」を書いて、泰山に報告したのだろうと思います
 
 「軍事郵便」は日付が何処にもないが、これは1月18日に泰山からの返事を、忠兵衛のもとに出しておりますね。

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 そして、並行して芳子宛に便りが届いておりますが、これは見舞い状の感じですので、別途「子供らの為にも、養生して早く元気になってくれ!・・頼む!」との激励の便りが来ていたものと思われます。
 その書状は、残念ながら残っておりません。

  恐らく、その便りは芳子が懐へ入れて、浄土へ持参して行ったのでしょう。
 
 
 
 
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【内容】 内子町 森並忠兵衛様 昭和17年1月
 
拝啓、先日お手紙有難うございました。
芳子の病気に付いては、一方ならぬ御苦労、御心痛をお掛けしまして本当に相済みません。
お便りによると、病状も普通の病気と違い、さぞ看護に難儀をせられた事、お察し申し上げます。
病状に付いて、当方に於いても、戦友達にも尋ねたのですが、やはり産後あまり心配した結果、血の道を起こしたのではないかと云ふ人もあります。
血の道には「猿の頭の黒焼シヲカラ」が好いと云ふ話ですから、友人に頼んで内子の方へ送って貰ふ様にしておりますから、それを 味噌汁にして飲ましてください、お願いします。
友人に頼んで送って貰ふ様にしておりますから・・・ 

牡丹江省 東寧県城子溝 岩6418部隊 鈴木隊 福島 泰山


 
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【内容】 内子町森並様方 福島芳子殿 
昭和17年3月
 
其の後 容態は如何ですか。
寒くなりましたが、私は元気ですから安心して下さい。
子供達は相変わらず元気で、面白く遊んで居る事でせう。
当地も先日、慰問演芸団が来まして、漫才、流行歌等をやりましたが
中々、面白く大人気でした。
何事にもくよくよせずと、充分養生をして下さい。 お願いです。
又、変わった事があればお知らせします。
 
         満州 牡丹江省東寧県城子溝 岩6418部隊  福島 泰山